08 エントリー回数と期待値

期待値稼働 | レッスン 026

通貨を絞って期待値を高める
エントリー回数と月利の正直な計算

「もっと多くの通貨を監視すればチャンスが増える」は間違いです。
なぜ絞るべきか、そして月8回のエントリーで月利9%が出せる根拠を、
具体的な数字で確認します。

エントリー回数についての考察と具体的な期待値計算(全体マップ)

このレッスンでは2つのことを扱います。

1つ目は「監視通貨を増やすとエントリー回数は増えるのか」という問いへの回答。
2つ目は「少ない回数でも月利が出せる根拠となる期待値計算」です。

このレッスンの前提

ドル・円・ユーロ・ポンドの4通貨で、FX市場全体の取引量の約75%を占めます。
この4通貨(主要3通貨ペア)に絞ることが、テクニカル分析の精度を最大化する土台です。


① 監視通貨を増やしてもエントリー回数は増えない

監視通貨を増やす事でエントリー回数は増えるのか(マインドマップ)

FX市場の本質:「通貨ペア」ではなく「通貨そのもの」が動く

FXは一見「通貨ペア取引」ですが、実態は個別通貨の需給のぶつかり合いです。

USD/JPY、EUR/USD、GBP/USDなど、名前こそ違えど、多くの通貨ペアの片側には「ドル」が存在します。
つまり、市場全体の動きの根底には常に「ドルの需給」があります。

我々はドルをトレードしているといっても過言ではない。

この視点に立つと、「通貨ペアの種類を増やす」という発想自体がズレていることがわかります。
USD/JPYもEUR/USDもGBP/USDも、根本的には同じドルの動きを別の角度で見ているに過ぎません。

監視通貨を増やすと「チャンス」ではなく「分散」が増える

❌ 多通貨監視の実態

チャンスが「増える」のではなく、注意力が”分散”するだけ

テクニカル分析の効きにくい通貨ペアまで追うことになる

✅ 少数通貨に絞る効果

チャート構造の解像度が上がる

前提の一貫性が保たれ、エントリー判断のブレがなくなる

TAKU

主要3通貨でさえ月でマイナスになっているのなら、いくら通貨を増やしたところで「負の期待値を積み上げること」になってしまう。
多通貨を追うと「この形、いけそうかも…」という中途半端な誘惑が増える。
本来、見送るべき局面で手を出しやすくなり、これが損失の原因になる。

人間の脳は多情報処理が苦手

多通貨監視は「多情報処理を強いられる状況」を作ります。
人間の脳は、同時に複数の対象を高精度で認識するのが極めて苦手です。

多通貨監視の結果として起きること:

起きること 影響
チャート構造の解像度が下がる 各ペアの細部まで見る時間・集中力が不足する
前提の一貫性が崩れる 「このペアはこうだったはず」という認識がズレる
エントリー判断がブレやすくなる 基準が曖昧になり、感情的な判断が増える
TAKU’S PRINCIPLE

ドルストレートを10通貨に増やしても
エントリー回数は5倍にならない。

ゴールドドル、ビットコインドルを含め、多くの通貨ペアの片側にはドルがあります。
ドルが動いているところでしかトレードできないため、通貨ペアを2つから10つに増やしても、チャンスは5倍になりません。
「通貨を増やす = チャンスが増える」は幻想です。

このセクションの理解確認
  • □ 監視通貨を増やしてもチャンスは増えず分散するだけ、と自分の言葉で説明できる
  • □ 今監視している通貨ペアを3つ以内に絞る決断ができた

② エントリー回数の現実値

「少ない回数しか入れないのでは、利益が出ない」という不安があるかもしれません。
しかし、4H足レベルの波取りトレードに絞ると、以下が現実的な回数です。

条件 エントリー回数
4H足レベルの波を取りに行くトレードに絞る 多くても週2〜3回
主要3通貨ペアを監視する場合 週0〜5回くらい
週平均でならすと 週2回 → 月8回
TAKU

自分は絶対月10回を下回ったことはほぼない。でも少なく見積もって月8回で計算している。
少ない回数でも一回一回の期待値が高ければ十分な利益が出る。
むしろ基準を下げて回数を増やす方が、負の期待値を積み上げることになって結果は悪くなる。


③ 期待値の計算式

月8回のエントリーで本当に利益が出るのか。それを数字で確認するのが期待値計算です。

期待値 = [(勝率/100) × RR − (1−勝率/100) × 1] × 資金管理
※ RR = リスクリワード比(例:RR2 = 1のリスクに対して2の利益)

期待値テーブル(勝率30〜90% × RR1〜4)

上の表は、勝率(縦軸)とRR(横軸)の組み合わせで期待値がどう変わるかを示したものです。

色の読み方:赤〜黄はマイナスまたは低期待値、緑はプラス、青は高期待値です。

読み取り方の例:勝率70%・RR2の場合

期待値 = [(70/100) × 2 − (1−70/100) × 1] × 資金管理
   = [0.7 × 2 − 0.3 × 1] × 資金管理
   = [1.4 − 0.3] × 資金管理
   = 1.1 × 資金管理

1%ルールで運用すると → 1エントリーあたり口座残高の1.1%の期待利得

計算の理解確認
  • □ 期待値の計算式を見て、自分の勝率とRRで期待値が計算できる
  • □ 勝率50%でもRR2以上であれば期待値がプラスになることを理解した

④ 月利シミュレーション:月8回で何%になるか

期待値が計算できたら、月8回のエントリーで月利がいくらになるかを計算できます。

勝率70%・RR1:2の場合(期待利得1.1 × 1%ルール)

月利 = (1 + 期待利得 × リスク率)^月エントリー回数
  = 1.011^8 = 1.0915
  → 月利 約9%

月利9%複利シミュレーション(100万円→12ヶ月後281万円)

元本100万円・月利9%複利の資産推移(万円)

4.5
1億円に到達するまでの期間(月利9%・元本100万円)
月8回エントリー、勝率70%、RR1:2、1%ルールで運用した場合の理論値。
12ヶ月後は281万円。超エリートの医者や弁護士が30年近く学んでやっと年収3000万円の世界で、
100万円が4年半で1億円になるのがFXの複利の力。

勝率・RRを上げるとどう変わるか

月利14%・19%・29%の比較シミュレーション

条件 期待利得 ルール 月利 12ヶ月後 1億到達
勝率70% RR1:2 1.1 1% 9% 281万円 4年6ヶ月
勝率70% RR1:2 2.2 2% 19%
勝率75% RR1:2.5 1.625 1% 14% 481万円 3年0ヶ月
勝率75% RR1:2.5 3.25 3% 29%
月利9%・14%・19%の複利比較(元本100万円・12ヶ月)

TAKU
月8回しか入れないのに月利9%が出るのか、と思うかもしれない。
でも計算してみれば分かる通り、現実的に到達できる数字だ。
大事なのは「回数を増やすこと」じゃなくて「1回1回の期待値を高く保つこと」。
通貨を絞って、勝率とRRを積み上げれば、月利9〜14%は普通に計算上出てくる。
もちろん税金もかかるし元本を守ることも必要だけど、まずはこの数字を理論として頭に入れておいてほしい。

TAKU

2%ルールや3%ルールにすれば月利はもっと上がるが、リスクも比例して上がる。
最初は1%ルールを徹底して、結果が安定してから引き上げることを推奨する。

このレッスンの完了条件
  • □ 自分の勝率とRRを元に期待値を計算し、月利を算出できた
  • □ 監視通貨を絞る理由を「脳の処理能力の限界」と「ドルへの集中」で説明できる
  • □ 「回数が少ない = 利益が出ない」という思い込みが解消された

まとめ

理解必須  FX市場はドルが動く。監視通貨を増やしても「分散」するだけでチャンスは増えない
理解必須  4H足の波取りに絞ると現実的なエントリー回数は月8回程度
計算を覚える  期待値 = [(勝率/100)×RR − (1−勝率/100)×1] × 資金管理
ゴールを持つ  勝率70%・RR1:2・1%ルール・月8回 → 月利9% → 1億円まで4年6ヶ月