通貨を絞って期待値を高める
エントリー回数と月利の正直な計算
「もっと多くの通貨を監視すればチャンスが増える」は間違いです。
なぜ絞るべきか、そして月8回のエントリーで月利9%が出せる根拠を、
具体的な数字で確認します。

このレッスンでは2つのことを扱います。
1つ目は「監視通貨を増やすとエントリー回数は増えるのか」という問いへの回答。
2つ目は「少ない回数でも月利が出せる根拠となる期待値計算」です。
ドル・円・ユーロ・ポンドの4通貨で、FX市場全体の取引量の約75%を占めます。
この4通貨(主要3通貨ペア)に絞ることが、テクニカル分析の精度を最大化する土台です。
① 監視通貨を増やしてもエントリー回数は増えない

FX市場の本質:「通貨ペア」ではなく「通貨そのもの」が動く
FXは一見「通貨ペア取引」ですが、実態は個別通貨の需給のぶつかり合いです。
USD/JPY、EUR/USD、GBP/USDなど、名前こそ違えど、多くの通貨ペアの片側には「ドル」が存在します。
つまり、市場全体の動きの根底には常に「ドルの需給」があります。
我々はドルをトレードしているといっても過言ではない。
この視点に立つと、「通貨ペアの種類を増やす」という発想自体がズレていることがわかります。
USD/JPYもEUR/USDもGBP/USDも、根本的には同じドルの動きを別の角度で見ているに過ぎません。
監視通貨を増やすと「チャンス」ではなく「分散」が増える
チャンスが「増える」のではなく、注意力が”分散”するだけ
テクニカル分析の効きにくい通貨ペアまで追うことになる
チャート構造の解像度が上がる
前提の一貫性が保たれ、エントリー判断のブレがなくなる
主要3通貨でさえ月でマイナスになっているのなら、いくら通貨を増やしたところで「負の期待値を積み上げること」になってしまう。
多通貨を追うと「この形、いけそうかも…」という中途半端な誘惑が増える。
本来、見送るべき局面で手を出しやすくなり、これが損失の原因になる。
人間の脳は多情報処理が苦手
多通貨監視は「多情報処理を強いられる状況」を作ります。
人間の脳は、同時に複数の対象を高精度で認識するのが極めて苦手です。
多通貨監視の結果として起きること:
| 起きること | 影響 |
|---|---|
| チャート構造の解像度が下がる | 各ペアの細部まで見る時間・集中力が不足する |
| 前提の一貫性が崩れる | 「このペアはこうだったはず」という認識がズレる |
| エントリー判断がブレやすくなる | 基準が曖昧になり、感情的な判断が増える |
- □ 監視通貨を増やしてもチャンスは増えず分散するだけ、と自分の言葉で説明できる
- □ 今監視している通貨ペアを3つ以内に絞る決断ができた
② エントリー回数の現実値
「少ない回数しか入れないのでは、利益が出ない」という不安があるかもしれません。
しかし、4H足レベルの波取りトレードに絞ると、以下が現実的な回数です。
| 条件 | エントリー回数 |
|---|---|
| 4H足レベルの波を取りに行くトレードに絞る | 多くても週2〜3回 |
| 主要3通貨ペアを監視する場合 | 週0〜5回くらい |
| 週平均でならすと | 週2回 → 月8回 |
自分は絶対月10回を下回ったことはほぼない。でも少なく見積もって月8回で計算している。
少ない回数でも一回一回の期待値が高ければ十分な利益が出る。
むしろ基準を下げて回数を増やす方が、負の期待値を積み上げることになって結果は悪くなる。
③ 期待値の計算式
月8回のエントリーで本当に利益が出るのか。それを数字で確認するのが期待値計算です。
※ RR = リスクリワード比(例:RR2 = 1のリスクに対して2の利益)

上の表は、勝率(縦軸)とRR(横軸)の組み合わせで期待値がどう変わるかを示したものです。
色の読み方:赤〜黄はマイナスまたは低期待値、緑はプラス、青は高期待値です。
期待値 = [(70/100) × 2 − (1−70/100) × 1] × 資金管理
= [0.7 × 2 − 0.3 × 1] × 資金管理
= [1.4 − 0.3] × 資金管理
= 1.1 × 資金管理
1%ルールで運用すると → 1エントリーあたり口座残高の1.1%の期待利得
- □ 期待値の計算式を見て、自分の勝率とRRで期待値が計算できる
- □ 勝率50%でもRR2以上であれば期待値がプラスになることを理解した
④ 月利シミュレーション:月8回で何%になるか
期待値が計算できたら、月8回のエントリーで月利がいくらになるかを計算できます。
勝率70%・RR1:2の場合(期待利得1.1 × 1%ルール)
= 1.011^8 = 1.0915
→ 月利 約9%

12ヶ月後は281万円。超エリートの医者や弁護士が30年近く学んでやっと年収3000万円の世界で、
100万円が4年半で1億円になるのがFXの複利の力。
勝率・RRを上げるとどう変わるか

| 条件 | 期待利得 | ルール | 月利 | 12ヶ月後 | 1億到達 |
|---|---|---|---|---|---|
| 勝率70% RR1:2 | 1.1 | 1% | 9% | 281万円 | 4年6ヶ月 |
| 勝率70% RR1:2 | 2.2 | 2% | 19% | — | — |
| 勝率75% RR1:2.5 | 1.625 | 1% | 14% | 481万円 | 3年0ヶ月 |
| 勝率75% RR1:2.5 | 3.25 | 3% | 29% | — | — |
でも計算してみれば分かる通り、現実的に到達できる数字だ。
大事なのは「回数を増やすこと」じゃなくて「1回1回の期待値を高く保つこと」。
通貨を絞って、勝率とRRを積み上げれば、月利9〜14%は普通に計算上出てくる。
もちろん税金もかかるし元本を守ることも必要だけど、まずはこの数字を理論として頭に入れておいてほしい。
2%ルールや3%ルールにすれば月利はもっと上がるが、リスクも比例して上がる。
最初は1%ルールを徹底して、結果が安定してから引き上げることを推奨する。
- □ 自分の勝率とRRを元に期待値を計算し、月利を算出できた
- □ 監視通貨を絞る理由を「脳の処理能力の限界」と「ドルへの集中」で説明できる
- □ 「回数が少ない = 利益が出ない」という思い込みが解消された
まとめ